ご挨拶

第11代会長 鍔 一郎

協会会長からのご挨拶

レストランの語源は心と体を「元の状態にもどす」、「元気にする」と言われています。私たちの生業はまさに地域、国、言語、民族の壁を越えてこの人類共通の課題に取り組み、数時間の食事の間に満足感、幸福感や他の人とのコミュニケーションの機会を得て頂くために美味しい料理と、それに相応しい空間とおもてなしを提供することだと思います。

私は中学卒業の15歳まで金沢で育ちました。当時は直営店が5店舗あり両親は多忙を極め、物心ついてからは家族水入らずの夕食の記憶はほとんどありません。稀に食卓を囲む機会はあるのですが、仕事仲間かお客様筋が同席しており、なかなか素直な自分の気持ちを打ち明けられない日々が続きました。「こんな家庭はいやだ、将来は学校の先生か学者になって普通の生活がしたいな」と思うようになりました。高校への進路をそろそろ決めなければならない中学2年生の夏、たまたま父と二人になる時間がありました。父は「来週、東京に連れて行ってやる、うまいもん食うぞ、用意しとけ」とだけ言って、何も分からないまま東京に連れて行かれました。入ったレストランはレス協仲間のすき焼き屋さんでした。当時は超高級なすき焼きを頬張りながら、すき焼き屋さんの社長は冒頭述べたレストラン、飲食業の素晴らしさを中学生の私に分かりやすく丁寧に説かれました。自分の未熟さと考えの甘さに恥じ入り、その場で両親の跡を継ぐ道を決断しました。それ以降、当時最先端だった立教大学観光学科に入るべく猛勉強し立教高校、そして念願の学科に入ることが出来ました。その後、ホテルニューオータニに入社、26歳で金沢に帰り今日に至っております。これが私のレストラン協会との出会いです。帰郷して3年で父が亡くなり、自分の指標を見失いかけていましたが、そんな時の救いがレストラン協会でした。セミナーや食味研修会などに参加しているうちに、何故か居心地のいい温かい家族のような気がして、元気や知恵や笑顔を頂けます。今でもその感謝の思いは変わりません。
このような素晴らしい仲間の皆さんがいらっしゃるレストラン協会をなんとしてでも発展させよりお役に立つようなものにするため、微力ではありますが全身全霊をもって会長職に取り組ませて頂きます。


2024年3月

一般社団法人 国際観光日本レストラン協会
第11代会長
鍔 一郎

第11代会長鍔 一郎

1955年  1月23日生まれ。
1977年  3月  立教大学卒業。
1977年  4月  株式会社ホテルニューオータニ 入社
1979年12月  株式会社 つば甚 入社
1984年  7月  同社 代表取締役
1999年11月  同社 監査役 現在に至る

2021年  国土交通省北陸信越運輸局 局長表彰受賞
2024年  3月 一般社団法人国際観光日本レストラン協会 会長就任